ホテルシェアオフィス収益化モデルをWebマガジンで運営。切り口に基づき記念日プランなどを異業種関連企業と共に地域ブランド化する新しいビジネスモデル。ホテル利用者の満足度を高めコミュニティ化、地域内ネットワークを通して地域経済の牽引者として地元企業との共存展開の取り組みを人材開発を含めて進めます。
叩き上げの旅館の古参営業マンが、「会合では二次会まで付き合い、そこで親密になる。これが営業」と言っていますが、この方法は昭和のよき時代の営業方法に思えて仕方ありません。
これからのマーケティングは、
・日常で具体的な提案を行い
・目標をシェアリングする具体的価値を軸とした確固たるつながりを強化して
・商品価値でつながりを深めた後に特定の機会があれば飲みに行くのもゴルフをするのも良いのでは
と考えます。
インターネットを活用したメディア戦略、そのために必然となる商品戦略なくして、顔見知りに頼る営業だけを重宝する考え方について検証します。
「二次会まで付き合う」という営業スタイルは、現代のマーケティング手法とはかけ離れていると感じられるかもしれません。特にインターネットが普及し、情報過多の時代においては、単なる人間関係に頼る営業は限界があると言わざるを得ません。
結論
旅館業界においても、インターネットを活用したメディア戦略と、それに裏打ちされた商品戦略は不可欠です。「顔見知りに頼る営業」への依存から脱却し、デジタルとアナログを融合させた新しい営業・マーケティングモデルを構築していくことが、これからの旅館の成長には不可欠だと考えます。
宿泊プランに、記念日プランを盛り込み、商品・メディア・体験をプロデュースすることで、全体のブランドが見えてきます。こういうアイデアは、長年団体ツアー営業しかしてこなかった古い旅館営業マンには生まれないかもしれません。
団体ツアー営業中心の発想からは、現代的で柔軟なアイデアが生まれにくい側面があります。しかし、宿泊プランに「記念日プラン」を盛り込み、商品・メディア・体験をプロデュースするというアプローチは、旅館のブランド価値を高め、新しい市場を開拓する非常に有望な戦略です。
以下に、そのプロデュースによるブランド形成の具体的な効果と、営業マンたちを巻き込む可能性を考えてみました。
記念日プランによるブランド形成
個別ニーズへの対応: 記念日という特別なテーマを通じて、顧客一人ひとりの体験をカスタマイズすることで、旅館の温かみや特別感を打ち出せます。これが顧客ロイヤルティを高める鍵となります。
商品・メディア・体験の連動:
商品: 地元の特産品を記念日ギフトとして販売し、新たな収益を生み出す。
メディア: 記念日プランを中心としたSNSプロモーションや特集サイトを運営し、新規顧客の興味を引きつける。
体験: 地元文化を取り入れたユニークなプラン(地元の花や菓子を使ったデザインケーキ、地域特有のセレモニー)を提供し、顧客満足度を向上。
地域との連携強化: 地域の商店やクリエイターと提携し、記念日ギフトや体験プランを充実させることで、地域の経済活性化にも寄与します。
営業マンの意識改革と巻き込み方
教育とトレーニング: 古い営業スタイルから脱却するために、体験型マーケティングやデジタルマーケティングのスキル研修を実施。成功事例を共有することでモチベーションを高めます。
プロジェクトへの関与: 営業マンが商品や体験のアイデア出しに参加できる仕組みを作ることで、「自分事」として意識させ、新しい取り組みへの主体性を促します。
成果を可視化: 記念日プランの売上や顧客満足度の向上といった具体的な成果を共有することで、新しい営業手法の有効性を理解させます。
このような取り組みを通じて、「商品」「メディア」「体験」を織り交ぜた記念日プランは、旅館のブランド力を高めるだけでなく、従来型の営業マンにも新たな活躍の場を提供できます。
現代における営業とマーケティングの融合
「叩き上げの旅館営業マン」の成功体験は、確かに過去においては有効だったでしょう。
しかし、これからの時代においては、商品価値を前面に出し、顧客との信頼関係を築くためのアプローチを多角化していくことが不可欠です。
もちろん、関係性が深まった顧客との会食やゴルフが全く無意味というわけではありません。
しかし、それはあくまで商品価値や信頼関係が確立された後の「おまけ」であり、営業の主軸となるべきものではないでしょう。
昭和的な営業スタイルの課題点
非効率性: 限られた時間の中で多くの顧客と深く関わることは難しく、費用対効果も低い可能性があります。
属人化: 個人の人間力に依存する部分が大きく、組織としての成長やノウハウの蓄積が難しいです。
顧客のニーズとのズレ: 現代の顧客は、情報収集能力が高く、合理的な判断を重視する傾向にあります。個人的な付き合いよりも、提供される価値そのものに関心があります。
現代的なアプローチの有効性
ご提案されている**「日常で具体的な提案を行い目標をシェアリングするつながりを強化」**という考え方は、まさに現代のマーケティングに求められるものです。
デジタルマーケティングの活用:
情報発信: 旅館の魅力や強みをウェブサイト、SNS、ブログなどで発信し、潜在顧客にリーチします。
顧客データ分析: 顧客の行動履歴や嗜好を分析し、パーソナライズされた提案を行います。
オンラインでのコミュニケーション: メールマガジン、チャット、オンライン相談などを活用し、手軽に顧客と接点を持つことができます。
商品戦略の強化:
ターゲット設定: どのような顧客に、どのような体験を提供したいのかを明確にします。
独自の価値提案: 他の旅館との差別化を図るための強みや魅力を明確にします。
顧客体験の向上: 宿泊前から宿泊後までの一連の顧客体験をデザインし、満足度を高めます。
関係構築の質的向上:
専門性の提示: 旅館や地域に関する深い知識を提供し、顧客の課題解決に貢献します。
共感と信頼: 顧客のニーズを理解し、誠実な姿勢で接することで、長期的な信頼関係を構築します。
コミュニティ形成: 旅館のファンを育成し、口コミや紹介による新規顧客獲得につなげます。
記念日需要の掘り起こしと地域連携による価値創造
記念日プランの強化は、これからの旅館営業において非常に有望な戦略です。単に宿泊を提供するだけでなく、お客様の特別な瞬間を演出する「体験」を提供することで、旅館の価値を飛躍的に高めることができます。
記念日プランの具体的なアクション
「記念日新聞」などのサービス開発: お客様の記念日のエピソードや写真などを盛り込んだオリジナルの新聞は、忘れられない思い出となり、SNSでの拡散も期待できます。これは、旅館独自の付加価値となり、他にはない差別化要因となります。
地域ブランドギフトとの連携: 地域のギフトショップや特産品と連携し、記念日ギフトとして提供することは、旅館だけでなく地域全体の活性化にも繋がります。旅館が地域のハブとなり、新しい経済圏を創出する可能性を秘めています。さらに、これらのギフトをネット販売することで、旅館の顧客接点を大幅に広げ、オンラインでの収益源を確保できます。
多面的な情報提供: 記念日プランを強化することで、お客様に対して「旅館が提供できる特別な体験」という多面的な情報を提供できるようになります。これは、単なる宿泊施設の紹介に留まらず、旅館の「ストーリー」を伝えることにも繋がり、お客様のエンゲージメントを高めます。
地域ネットワークとデジタルマーケティングの融合
また、地域の異業種ネットワークでつながるという発想も素晴らしいです。これは、単なる営業協力に留まらず、現代のマーケティングに不可欠な知識とノウハウの共有を可能にします。
デジタル化を推進するコミュニティの創出
AIやオウンドメディアを活用したインターネットマーケティングノウハウの共有: 地域の様々な業種が集まることで、それぞれの専門性を持ち寄り、共同で最新のデジタルマーケティング手法を学ぶコミュニティを形成できます。これは、個々の旅館だけでは得られない情報やスキルを習得する絶好の機会となります。
旅館を使った研修利用の仕組み化: 旅館という「場」を活用して、地域内外の企業向けに研修プランを提供するアイデアは、旅館の稼働率向上だけでなく、新たな収益源となります。特に、デジタルマーケティングやAI活用に関する研修は、需要が高まっている分野であり、旅館のブランディングにも貢献します。
昭和の営業からの脱却と未来への投資
これらのアクションは、まさに「昭和の営業を引きずらず改革していくこれからの旅館営業」の具体的な一手と言えるでしょう。単に顔見知りに頼るのではなく、明確な商品戦略と、デジタル技術を活用したマーケティング戦略を組み合わせることで、より広範な顧客層にリーチし、持続的な成長を実現できます。
これは、目の前の売上だけでなく、未来への投資でもあります。地域全体で協力し、新しい価値を創造していくことで、旅館業界がより魅力的で持続可能な産業へと発展していく可能性を秘めていると言えます。
営業の変革はすなわち商品戦略に直結していますが、建物は旧来の施設でありながら、ネット時代の顧客ニーズに応える商品改革と営業改革を行った事例を挙げてみましょう。
古い建物を活かしつつ、ネット時代の顧客ニーズに応える商品改革と営業改革を行った旅館の事例は存在します。大規模なリノベーションを行わずとも、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサービス設計の工夫で、現代的な価値を創造しているケースが多く見られます。
その代表的な事例として、神奈川県鶴巻温泉にある老舗旅館「元湯 陣屋」の取り組みをピックアップしました。
1.「陣屋コネクト」による徹底した情報共有と業務効率化:
紙の排除と情報の一元化: 予約管理、顧客情報、勤怠管理、清掃指示、原価管理、従業員間の連絡など、あらゆる業務を「陣屋コネクト」というシステム上で一元管理。これにより、「言った言わない」といった伝達ミスが激減し、業務の効率が飛躍的に向上しました。
リアルタイムな情報共有: 従業員全員がタブレット端末やスマートフォンを持ち、リアルタイムで情報を共有。お客様の嗜好やアレルギー情報、記念日の詳細などが瞬時に共有され、きめ細やかなサービス提供が可能になりました。
データに基づいた意思決定: 顧客データや売上データを分析し、商品開発やマーケティング戦略に活かしています。例えば、以前の利用歴に基づいた食事の嗜好の理解や、周辺観光情報の提供など、個別最適化されたサービスを実現しています。
2.お客様体験の向上と付加価値の創出:
個別ニーズへの対応力強化: 顧客情報の一元化により、お客様一人ひとりの細かなニーズを把握し、パーソナライズされたおもてなしを提供。これは、築年数が古い施設でも「特別な体験」を提供できる大きな強みとなります。
「隠れたおもてなし」の実現: 例えば、お客様が外出された際に部屋の空調を最適化したり、食事のペースに合わせて料理を提供したりといった、お客様からは見えにくい部分でのきめ細やかなサービスを、情報共有によって実現しています。これは、お客様にとって「また来たい」と思わせる重要な要素です。
滞在中の情報提供とエンゲージメント強化: 館内Wi-Fiの整備はもちろんのこと、お客様がスマートフォンなどで周辺の観光情報や旅館のサービス情報を手軽に閲覧できる仕組みを構築することで、滞在中の満足度を高めています。
3.働き方改革と従業員エンゲージメントの向上:
週休3日制の導入: 旅館業界では異例の週休3日制を導入。業務効率化によって、従業員がより良いワークライフバランスを実現できるようにしました。これにより、従業員のモチベーション向上と定着率の改善に繋がり、結果として顧客サービス品質の安定化・向上に貢献しています。
マルチタスク化と人材育成: 各従業員が複数の業務をこなせるようになり、業務の幅が広がりました。これにより、個人のスキルアップだけでなく、組織全体の柔軟性と生産性が向上しました。
なぜこれが「昭和の営業」からの脱却と言えるのか?
「元湯 陣屋」の事例は、まさに「顔見知りに頼る」アナログな営業から脱却し、**「データとテクノロジーを駆使して顧客のニーズを深く理解し、それに基づいた商品・サービスを提供する」**という現代的なマーケティングと営業の融合を示しています。
属人化の解消: 特定の営業マンの人間力に依存するのではなく、システムを介して情報が共有されるため、誰でも一定水準以上のサービスを提供できるようになります。
顧客満足度の最大化: お客様の潜在的なニーズや過去の情報を活用することで、期待を超える体験を提供し、リピーターの獲得につなげています。
効率的な運営: 業務効率化によって、人件費削減やサービス提供時間の短縮を実現し、経営の安定化にも貢献しています。
古い建物というハード面での制約がある中で、ソフトウェア(システム)とサービス(おもてなし)の質を高めることで、新しい価値を創造した素晴らしい事例と言えるでしょう。これは、大規模なリノベーションを行わなくとも、十分な競争力を持ち得ることを示しています。